万年筆のイラスト
長寿な筆記具
事務用品イラスト素材集のページに収録した万年筆のイラストです。
万年筆は、それまで使われていた「つけペン」に「インク補充装置」を加えた形で発明されたものです。
日本の「万年筆」というネーミングは、その発明に対する敬意で満ちています。
「鶴は千年、亀は万年」の万年筆です。
こんなに縁起の良いネーミングは、他には見当たりません。
万能や万国ということばがあるように「万」には、「たくさんの」とか「多く」のという意味があります。
万年筆は、名付けた方の思いと意気込みが伝わってくるような名前です。
筆記具において、長い年月をかけて愛用できるものが、ついにできたという思いでしょう。
長寿な筆記具であるから縁起の良い「万年筆」なのです。
「この万年筆というペンは、名前の通り末永く使えるお得なペンだから、決して高くはないよ」という、店頭での店員さんの売り言葉が聞こえてくるようです。
「そこの女学生のお嬢さん、万年筆を使うと勉強がはかどりますよ!」なんてね。
内田魯庵が命名
万年筆は、慣れてくると独特の書き心地の良さに魅了される筆記具です。
サラサラとした書き心地に、明治期の多くの文人たちが愛用したとのことです。
夏目漱石は「オノト(イギリスのデ・ラー・ルー社製)」を愛用していたそうです。
この 「オノト」は1912年に内田魯庵から贈られたものとのこと。
そして、漱石に「オノト」を贈った内田魯庵が、「万年筆」という名を考えたと言われています。
国産の万年筆
「日本筆記具工業会」の「万年筆の歴史」というサイトでは、日本で万年筆が一般(おそらく高所得層)に流行したのは、1905年(明治38年)の日露戦争終了後あたりからであるとされています。
1871年(明治4年)に、日本に初めて「鋼ペン」が渡来してから、34年後のことでした。
1911年(明治44年)には、 阪田久五郎氏が広島県呉市 において、国産万年筆の製造を始めたとされています。
阪田久五郎氏は、後のセーラー万年筆株式会社の創業者です。
美術品のような万年筆
英語では「fountain pen」と書いて、「泉のペン」という意味です。
日本の万年筆は実務的な発想に基づいて名付けたものでしょう。
それに比べて英語の「fountain pen」は、ロマンチックな呼び方になっていると思います。
お得で実務的なものが好まれる日本では、現代ではボールペンの出現とともに万年筆はあまり利用されなくなってきています。
この頃では、趣味的な高級文具として高価な万年筆が一部の方たちに愛用されているようです。
ボディに蒔絵やセルロイドを施した美術品のような万年筆も、究極の実用品として趣味人に愛されているようです。
相性の良い万年筆とは、一生の付き合いになることでしょう。
その万年筆が、子や孫に受け継がれていくかもしれません。
そんな高級万年筆があるなかで、イラストの万年筆は地味な事務用品をイメージして描きました。