正月飾りのイラスト
年神様を祀る飾り
正月イラスト素材のページにある「正月飾りのイラスト」です。
「正月飾りのイラスト」を描いたとき、ふと思ったのは「正月飾りのイラスト」は「正月飾り」になり得るのだろうかということです。
新年を迎えるために玄関先などに飾るのが「正月飾り」です。
現代では、しめ飾りが一般的です。
古来より日本では、正月にその年の神様を迎えるという風習がありました。
年神様は、五穀豊穣の神であり、家族を守ってくれる祖霊であり、一年の無事を守護する神であると考えられていました。
各家庭で、正月に年神様を鄭重にお迎えする風習が現代でも行われています。
年神様を家へ迎い入れ、その年神様を祀る飾りが「正月飾り」なのです。
縁起物
「正月飾り」は、いろいろな縁起物で飾られています。
上のイラストの「正月飾り」は、牡丹の造花を飾り付けたモダンな感じのものです。
竹の柱は、竹の成長する力にあやかって生命力の象徴となっています。
松の枝は、「祀る」につながる縁起物です。
梅は新春に咲いて、一年の始まりを飾る縁起のいい花です。
丸いカラフルな餅花は、豊作を祈願しています。
大きい賀正の金文字は、新年を祝賀する詞です。
このように「正月飾りのイラスト」には、いろいろな縁起物を描くことができ、カラフルで華やかな「正月飾り」に仕上げることができます。
「正月飾りのイラスト」も縁起物で飾りつければ、充分「正月飾り」になり得ると思います。
正月飾りの縁起物の例
「正月飾り」には上記縁起物の他、様々な縁起物が飾りつけられています。
以下に代表的なものをまとめました。
- ゆずり葉: 新しい葉が成長すると古くなった葉が落葉する性質をもっています。親から子へ世代が受け継がれることを意味し、子孫繫栄を祈願する縁起物です。
- 南天:難が転ずるという洒落っ気のある縁起物。
- 熊笹:雪の中でも葉が緑色で、強い生命力が感じられることから長寿を祈願する縁起物。
- うらじろ: うらじろ(裏白)は穂長ともいわれ、長寿の象徴です。また裏が白い色であることから、清浄を表す縁起物となっています。
- 昆布:「よろこぶ」ことが多いようにという洒落っ気のある縁起物です。
- 熊手:福をかき集めるという縁起物。
- 橙(だいだい):家が代々続くようにという洒落っ気のある縁起物。
ダジャレ?
こうしてみると「正月飾り」の縁起物は、けっこう洒落っ気のあるものが多いようです。
まるで同音異義語の言葉遊びを楽しんでいるみたいです。
江戸時代の俳諧を垣間見ているような気がします。
正月の神様は、よっぽどダジャレがお好きなのでしょう。
言霊信仰
言葉といえば、日本には「忌み言葉」という考え方があるようです。
結婚式のスピーチで使ってはいけないとされている「分かれる・割れる・切れる」が「忌み言葉」として有名です。
「忌み言葉」は、古来より信仰されてきた「言霊信仰」に由来しています。
「言霊信仰」とは、ある言葉を口に出すと、その内容が実現するという信仰です。
正月限定の忌み言葉
その「忌み言葉」には、正月限定のものがあって、それが「坊主(ぼうず)・鼠(ねずみ)・箒(ほうき)」なのだそうです。
正月三ヶ日は、坊主とか鼠とか箒とかの言葉を口に出してはいけないという風習です。
坊主は、めでたい正月に死を連想したくないからでしょうか。
鼠は清めねばならないときに不潔を連想するからでしょうか。
箒は、熊手でかき集めた福を、箒が掃き出してしまうという連想が働くからでしょうか。
江戸時代には、正月に鼠のことを「嫁が君(よめがきみ)」と言っていたということです。
「嫁が君」は、俳句(俳諧)では正月の季語となっています。
言霊信仰の視点で正月飾りをデザインする
「正月飾り」の品々も、「ゆずり葉・南天・うらじろ・昆布・橙」などは、「言霊信仰」に由来するものが多いようです。
「正月飾り」と相対する「正月の忌み言葉」も「言霊信仰」がもとになっています。
年神様は、「言霊信仰」と深い縁があるように感じられます。
「正月飾り」のデザインを言霊信仰の視点で見たら、面白い発見があるかもしれません。
「正月飾りのイラスト」を言霊信仰の視点で描いたら、年神様も喜ばれることでしょう。
蛇足ですが「正月の縁起」は神道に由来するものなのか仏教に由来するものなのか、興味深いものがあります。