滑稽な表情の、ひょっとこ面のイラスト
滑稽な表情
仮面イラスト素材集のページに収録した「ひょっとこ面」のイラストです。
すぼめて曲げた口元は、ごま塩の髭だらけ。
はり出た頬と、大きな鼻。
それに左右大きさの違う目が、なんとも滑稽な表情の「ひょっとこ面」のイラストです。
でも、この滑稽な表情のなかに哀愁が漂っているのはなぜでしょう。
ひょっとこの由来
「おかめ」や「おたふく」とセットにされる場合もありますが、「ひょっとこ」は「ひょっとこ」としての独自性を持っています。
「ひょっとこ」の名前の由来は、竹筒で吹いて竈(かまど)の火をおこす「火男(ひおとこ)」の表情に、「ひょっとこ」の顔が似ているからという説があるそうです。
その「ひおとこ」が転じて「ひょっとこ」となったのだという説です。
また、すぼめた口の形が徳利のようで徳利でないので「非徳利(ひとっくり)」。
それが転じて「ひょっとこ」になったとか。
こちらのほうは、前説にくらべて説得力に欠けるように思われます。
いずれにしてもこれらの説は、上のイラストのような顔の人物がいて、その男が「ひょっとこ」と呼ばれるようになったことを示しています。
その人物の面相が独特だったために、それに合った呼び名として「ひょっとこ」と名付けられたのでしょう。
おかめひょっとこ
「おかめ」や「おたふく」も独自な存在であったようですが、ペアを好む人達が「おかめひょっとこ」とひっつけて、対のものとしたのでしょう。
面白い顔の男と面白い顔の女を組み合わせれば、なお面白かろうという世俗な発想です。
こうして「おかめひょっとこ」というペアが誕生したのだと私は思っています。
ではなぜおたふくではなくおかめなのでしょう。
それは、「おたふくひょっとこ」よりも「おかめひょっとこ」の方がリズミカルで語呂がいいからでしょう。
リズミカルな呼び名
日本人はリズミカルな言い回しが好きです。
俳句や俳諧でも、語呂のいい句に人気があります。
俳句自体が「五・七・五」のリズム感を大切にした文芸であるからなのでしょう。
面白い顔をした男に「ひょっとこ」というリズミカルな呼び名をつけたら、その男の存在感が以前にも増してクローズアップされたことでしょう。
それと同時にリズミカルな響きの「ひょっとこ」という呼び名は、変な顔をした人を卑しめる「からかいの言葉」にもなったと思われます。
大勢が少数の変な顔や変な動きをした者を嘲笑い者にする。
その嘲笑いの衝動が「おかめひょっとこ」というリズミカルな道化芝居を発生させたのかもしれません。
集団ヒステリーの産物?
面白い顔をした男が「ひょっとこ」と呼ばれなかったら、いくら独特な面相であったとしても、ただの面白い顔の男で終わったことでしょう。
「おかめひょっとこ」の面白い道化芝居も生まれなかったかもしれません。
「ひょっとこ」というリズミカルな言葉が発音されて、そう呼ばれた者の面白おかしい物語が世に出て、その存在感を大きなものにしたのだと思います。
芸能として舞台に上がれば、「ひょっとこ」の仮面をつけた芸能の人気者となって観客から注目されます。
それによって、現実の「ひょっとこ顔」の男は、ますます囃し立てられ、迫害されることになったかもしれません。
面白おかしい顔の面は、「嘲笑迫害」という集団ヒステリーの産物のようにも思われます。
そんな「ひょっとこ面」のイラストです。